メッセージ

なぜT&T Englishを開講したのか

 

私が、1990年代に米国の大学院に留学したときのことです。講義中心の授業のみでなく、グループディスカッションが重視される授業も多くありました。意気揚々と授業に出向いたのですが、自分の意見や日本の特色をディスカッションで説明できない自分にもどかしさを感じるまでに時間はかかりませんでした。周りを見渡すと、国内最高峰の大学を卒業し、TOEFLで高得点を出された日本人留学生の方達がいましたが、やはり同じような問題を抱えているように見えました。

事実、当時、米国の大学院の教師たちが、日本人がTOEFLの得点に見合う貢献を授業でしないこと(討論に参加しないこと)に失望しているという話を聞いたことは、一度や二度ではありません。難しい専門論文は読みこなせるのに、なぜ、このような問題を抱えることになったのでしょうか。

 

結局、私自身が1980年代から90年代にかけて受けた日本の英語教育(学校という教育機関にて)には、その根幹を見直すべき問題があったと言わざるをえない、と私は思っています。

では、どうすればいいのか。その問いへの一つの解が、カードを使って64ものセンテンスを定着させ、何百回も暗誦するなかで文章構造についての「気づき」を促し、様々な形に変換させていくBBメソッドではないかと思うのです。なぜ64ものセンテンスを定着させることができるのか。それは、様々なゲームを通して、遊び、楽しみながら自分の口で発話しているからに他なりません。BBカードを楽しそうに暗誦し、ゲームに興じるなかで、自然に英語の語感を身につけている子供たちの生き生きした姿が、それを裏付けていると私は信じています。もちろん、これと並行して、たくさんの本に触れるなかで、自然な言い回しを身につけ、語彙を増やすことの重要性については、言うまでもないことです。

 

このように、BBカードや絵本の多読、といった、自分自身が本当に有意義だと信じる方法で英語に触れる機会を、子供達に提供できたら、という思いから、2013年に開講したのが、T&T Englishです。これまでたくさんの小・中学生と触れ合い、上記の思いを日々、強くしております。

 

(参考:「第二言語のデータベースを増やし、自然な表現を身につけるために、特に母語と第二言語の距離が遠い場合は、よく使う表現や、例文、ダイアローグなどを暗記することが効果的でしょう。」白井恭弘著 「外国語学習の科学」岩波新書)

BBカードで楽しみながら英語を習得していきます。